ツール・ド・フランス 2025 第21ステージ Final
最後の日はもっとのんびりした感じだろ普通!なんてレース?ラストに面白すぎる。TDFのファイナルデーだということを完全に忘れてしまった。タディがやる気で踏んだことが、この伝説的なステージを作り出した。
VISMAは、ワウトを勝たせることに完全に集中していて、その作戦が見事に功を奏した。TDFの間、VISMAの作戦については色々取り沙汰されたが、彼らは手を抜いていたわけではなかったと思う。石畳が組み込まれたことには、賛否もあったようだし、荒天の予報にコース変更もありえるという話もあったが、結局当初の予定通りにレースは開始された。VISMAはワウトを勝たせるという作戦で完全に動いていた。石畳の登り坂は、彼にぴったりのコースだったから。
初めて組み込まれたモンマルトルの石畳の、観客の多さと言ったら!ポガチャルが行くのか、行かないのか。結局ポガチャルは大方の予想通りに行った。2度目のモンマルトルで前に残ったのは、ポガチャル・ワウト・モホリッチ・ジョーゲンソン・バッレリーニ・トレンティンの6名。優勝はこの6名の誰かに絞られた。唯一2名を送り込んだのはVISMA。3度目のモンマルトル登りで仕掛けたのはポガチャル。頂上手前で、ポガチャルにつけていたのはワウト・バッレリーニだったが、ここでワウトがアタック。なんと、ポガチャルをちぎって独走体制になった。3週間の間、いまひとつ調子の上がらなかったワウトにとっては、絶対に勝ちたいレースだったろう。
ここまで盛り上がったのは、ポガチャルが本気で踏んだからだ。最後までUAE vs VISMA。素晴らしくエモーショナルな最終レース。最終盤で少し退屈で疲れているように見えたタディが、今日はとても楽しそうで少しほっとした。
タディを先頭に3名になった段階で、Finishでのスプリントは想像ができた。そういうパタンは、事前にも想定できた。(誰クル予想がそれを物語っている)まさか登り手前でカウンターアタックを仕掛けるとは!(でも最初からそういう計画だったらしい)ジョーゲンソンがしっかり残っていたことも効果的だった。
Giroの9・20ステージといい、ツールの最終シャンゼリゼといい、ワウトはエモーショナルなステージを作り出す天才か?それまでの負け(といっても2位なのだが)が、全てその日のためにあったかのような終わり方をする。
“The hardest part was keeping faith in myself”
自分を信じ続けるのが最も困難だった、と。
Mauro Gianetti (manager UAD) : “J’ai félicité Wout Van Aert après le podium et je lui ai dit : ‘Tu es le seul à avoir distancé Tadej sur le Tour, tu es un champion et tu méritais de remporter cette étape.’ Honnêtement, on s’attendait peut-être à un peu de spectacle, mais pas comme ça. Ces coureurs sont incroyables.”
UAEのマネージャーの言葉。このツールを通してタディを引き離したのは君だけだと伝えたとのこと。ツールの3週間でやりたくでも出来なかったことを、チームで成し遂げた。最終日で一矢報いた形になった。
VISMAのチームラジオ。
“Thanks guys for believing me.”
ワウトの言葉がよい。
モホリッチも惜しかったが、レース後にすごいことをさらりと語っていた。
“I didn’t care if I had to go this evening to the hospital or dinner. We live for days like these. We work for this all year, and unfortunately, I just missed out on the stage win.”
今晩、病院行きになるのかディナーに行くのかなんて気にかけてなかった。僕らはそういう日々を生きている。って、まあそうだろうけど。やっぱどうかしてるレースだな、3週間のグランツールは。
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